診療日誌

2018.09.26更新

患者さんと話をしていると、ハッとする瞬間がある。

今まで「眠れない、眠れない」と言って「薬を強くしてくれ」だの「薬を増やしてくれ」だの、あげくは薬を余分に飲んだりしていたような人がこんなことを急に言い出したのである。「寝る前の薬は要らない。寝たきりになる前に、楽しみたいもん。眠れなくても、仕事をしてるわけじゃないから構わない」。どうした風の吹き回しなのか?

誰かに説得されたのか、それとも誰かに脅されたのか{私でないことは確かである}あるいは薬を余分に飲みすぎて寝たきり状態になってしまい、後悔し、ハッと気が付いたのか。

ずーっとその気持ちを忘れないでもらいものであるが、えてして逆戻りする可能性もあるので早々うかうかはできないが。依存症は本人が何とかしようと思わないとなかなか脱却できない。自然の成り行きでいい方向に向かったのであろう。

私もその言葉を聞いて、開業医生活も14年が過ぎ、あっという間に年を重ねてしまったが、もう少し人生を楽しまなくちゃあなとつくづくと思ったのである。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2018.09.14更新

診療所が公的機関への届出・広告・掲示等で何を専門としているかを表示できるものを標榜科目とよんでいる。

代表的なものは内科・外科であるが、メンタルな領域だと精神科・神経科・心療内科となる。国が定めているものなので、勝手にメンタルヘルス科などとつけることはできない。

似たような科目で神経内科があるが、そこはパーキンソン病などの神経疾患を扱っており、精神症状ではなく主に神経学的所見をみていくところである。ただし両者にまたがるような病気があるのも事実である。てんかん・認知症・精神遅滞などは大昔は精神科・神経科で扱っていたが、今は小児科・神経内科・脳外科などで扱うことが多くなっている。

それでは心療内科という科は何をみているのか?実際にはその本来の意味とはやや異なり、うつ病や不安障害などのメンタルな病気の受け皿になっているのが実情である。精神科の医者も精神科の敷居を低くするために、あえて心療内科という看板をあげているところが多い。

この間、電話の問い合わせで「精神科と心療内科とどう違うんですか」と尋ねられた。詳しい説明をしてもむずかしくなるし、実態はこうなのかと思い「一般的に精神科は統合失調症や躁うつ病のような精神病をみるところ、心療内科はうつや不安障害などの軽い精神の失調を示す人をみるところと思われていて、そう考えるとわかりやすいんじゃない」と答えたのである。専門家がこれを聞けば「全く、まちがっているなあ」と怒られてしまうであろうが。

 

投稿者: 湘南こころのクリニック

2018.09.04更新

精神科のクリニックでは精神疾患のすべてを診てもらえるわけではない。通常どこでも診てもらえるであろう病気は{一般}、一定以上の専門知識なり経験を有しないと診られないような病気は{専門}として分けて区別することがある。

{一般}と呼ばれるものは何かと言うと、うつ病圏の病気{わざわざ圏といったのはうつ病ではないが、その近縁の病気も含むということである}、神経症圏の病気{神経症は死語であるがわかりやすいので使わせていただく、不安障害・強迫性障害・身体表現性障害など}、ストレス関連障害{適応障害など}、統合失調症圏、躁うつ病圏の病気が入る。

なお{専門}と呼ばれるものは、児童期にあらわれる病気{主なものは発達障害}、老年期にあらわれる病気{主なものは認知症}、パーソナリティー障害、不眠症以外の睡眠障害、摂食障害、アルコール依存症、薬物中毒性障害{主なものは覚醒剤}などである。

一般の精神科クリニックでも認知症やアルコール依存症の人をみることはあるが、病状が軽い人や安定している人であることが多い。

なお{一般}に該当する人でも、重症で、外来での治療が困難で、入院が必要な場合には、精神科病院に紹介することがある。

 

投稿者: 湘南こころのクリニック

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