診療日誌

2017.08.29更新

私が研修医となり大学に籍があった5年ぐらいの間であるが、次のようなことをいつも考えていた。それは{精神現象のすべてを統一的に理解する方法を作り上げたい}というものだった。そして29歳の時、ぱっとその糸口になるものが閃いた。それは岡崎市の郊外にある精神病院の当直をしているときだった。走馬燈のようにさまざまな記憶が脳裏を駆け巡り、ぱっと理解できたのである。それは不思議な体験だった。そして次の2つの前提を認めることで、ほとんどの精神現象が説明可能になるものと思えた。

1 精神構造を力学モデルと等価であるとみなし、複雑なシステムを単一なあるいは2~3のわかりやすい力学系に近似させることにした。簡略化した力学モデルとは次のようなものである。  {略}

2 精神機能はいくつかの系列に分けられるが、その構造は1の構造に一致すると考え、このような精神機能の系列として感情系・欲動系・不安系・意欲系・思考系・知覚刺激系の6つをあげた。そして各系に応じて、系に特有の精神症状が現れ、力学モデル中のXとYとでは精神症状が色合いを異にして表出されるものとした。

  1および2から演繹的に33の命題が導き出された。   {略}

この内容は学会で発表し、専門誌に投稿した。評価は{面白い}というものであったが、アクセプトされなかった。

多分、荒唐無稽で、信憑性にかけるということだったのであろう。

それから神奈川県の副院長として教授より推薦され、赴任することになった。

この理論は私の記憶のなかにそのまま埋もれている。

 

投稿者: 湘南こころのクリニック

2017.08.18更新

うつ病の生活指導については今まで何回も取り上げてきました。

しかし今回、もう一度まとめておきたいと思います。

1  心と体の充電が必要。疲れている場合は、ゆっくり休息をとるようにしてください。

2  負担がかかっているものがあれば、負担をできるだけ減らしていくようにしてください。無理は禁物です。

3  眠れていないときは、睡眠剤、場合によっては抗うつ剤等が必要です。

4  マイナス思考は放置せず、気持ちをきりかえ、プラス面を考えていくようにしてください。

5  問題あるいは検討事項があれば、いい方向に解決していく方法を考えていきましょう。悪い方向に向かう場合、一旦棚上げにしましょう。

6  動けるようであれば、散歩や掃除などをしてください。気分転換にもなります。ただし疲れない程度に。

7  周りの人は温かい気持ちで接してあげてください。本人を傷つけるような言動は慎んでください。

8  週に1回、自分にご褒美をあげましょう。もちろん、できる範囲内で。目標にもなります。

 

投稿者: 湘南こころのクリニック

2017.08.07更新

ここでいう{うつ}とは{うつ病}のことをさしている。うつ病には診断基準が設けられ、その基準に当てはまることが重要である。ところで{軽うつ}とはうつ病ではないが、うつ状態を示し、しかも生活機能に支障を来しているものである。ICD10では{他のうつ病エピソード}や{気分変調症}に該当する。

なお{軽うつ}という言葉は{軽症うつ病}という意味でも使われるので注意が必要である。うつ病で軽症・中等症・重症と分けるときに症状の数を診断基準で重視しているが、むしろ生活機能の障害のレベルで判断した方がわかりやすい。中等症とは仕事や家事において明らかな障害が生じ破綻を来しているものであり、重症は基本的ADLにおいても一部、障害を呈しているものである。軽症は仕事や家事において多少の障害や困難を認めるが、破綻までは来していないものである{なんとかやっているというレベルである}。

それでは{うつ}と{軽うつ}を区別するのは何であろう。症状の数を診断基準ではやはり重視しているが、それはいかにも操作的といわざるを得ない。物事の本質は何かと言うことが大切である。私は症状の自己コントロール性が重要とみている。うつ病の人はいくら努力しても、うつの症状は晴れない。それに反し{軽うつ}の人は気分転換や気持ちの持ち方で気分が良くなったりする。勿論うつ病の人も良くなってくればそのようなことが可能になってくるものだが。

この自己コントロール性については{躁}と{軽躁}の場合にも当てはまる。{躁病}の人は自己コントロールが働かず、ほとんどの例で入院を余儀なくされる。軽躁の人は自己コントロールがある程度保てれ、入院することはほとんど無い。ただしトラブルを起こし、人に迷惑をかけることが多い。

 

投稿者: 湘南こころのクリニック

診療日誌