診療日誌

2016.04.29更新

うつ状態を示す心の病気には大きく分けて2つがある。1つめをAとすると、Aはうつ病のレベル{水準}に達しているもの{症状の強さ、症状の広がり・期間において}、また2つめをBとすると、BはAには達していないが軽度のうつ症状が一定程度みられ、日常生活に支障をきたすレベル{水準}に達しているものである。Aのなかにはうつ病の診断基準にあてはまる本来のうつ病と基準にはあてはまらない{その他のうつ病}がある。またBのなかには{適応障害の抑うつ反応}{気分変調症}{他の精神身体疾患に伴う軽いうつ症状を伴うもの}{いわゆる神経症性うつ病}などがある。
以前{うつ状態イコールうつ病}ととらえていた識者がいたが、AあるいはBの2重構造を無視した乱暴な考え方だなとあまり快くは思えなかった。アメリカのDSMではmajor depressionとその他のうつ病性障害を区別している。日本ではうつ病とうつ状態に分かれていたのが{病名としてのうつ状態}がなくなり、2重構造を区別する便利な言葉を失ってしまった。
{ ちなみにAは内因性うつ病にちかいものであり、Bはいわゆる神経症性うつ病に近いものである}
{ また、躁病にも躁状態と軽躁状態の2層構造がある。}


投稿者: 湘南こころのクリニック

2016.04.19更新

今年の秋から向精神薬を一定以上処方している患者さんに対して診療費が減らされることになった。「薬漬け医療は許さないぞ」という趣旨もあるであろうが、いよいよ「国が治療にまで口をはさんできたな」という思いもある。精神科医のはしくれとしては、よその病院からこられた患者さんの薬をみて「よくもこんなに出しているな」と思うことはたまにある。しかしため息をつきながらも、同じ薬を同じ量だけ処方している。なぜかというとそういう患者さんは特に{薬を変えると必ず悪くなる}というのがある程度、わかっているからである。あえて薬を減らして状態を悪くしてしまうリスクはあまりとりたくない。無理に変えると逆に患者さんからクレームがくる場合だってある。{前の薬の方がよかった。もとにもどしてくれ}といわれるのがおちだ。精神科の薬の多くが、依存性があり、耐性がつきやすい。だからいったん増やして、慣れてしまうとなかなか減らしようがない。しかしこの措置によって今後、薬をバンバン出していた病院が少なくなれば、精神科医療ももうすこしはよくなるであろう。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2016.04.08更新

抗うつ薬といえば今やSSRIやSNRIが主流である。使いやすさの点からすれば当然であるが、今でも三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬が役立つ場合がある。トリプタノールは過敏性腸症候群の下痢型の人に1日量10~25mgを寝る前に使うと有効である。また同剤は鎮静作用が強く、希死念慮を持つうつ病の人にも使われる{ミルタザピンが合わない人に適する}。この際1日量30mg~75mgを1日3分服で用いる。ルジオミールは身体表演性疼痛障害で痛みを有する人に使うと意外と効果的である。1日量30mgから徐々に増やして60mgぐらいまで上げていく。勿論、効果が一定程度現れればそこで維持量としていく。サインバルタより効果をあげられると思う。うつ病がなかなかよくならない難治性うつ病の人に試して損はない療法がある。アナフラニールとルジオミールの併用療法である、30年以上前に使われていた治療法である。どちらも1日量75mgを目安にして使う{昔は大量療法というものもあったが}。三環系、四環系抗うつ薬は副作用として便秘・食欲増進・体重増加{長期使用の場合}などがあるので、十分説明の上、場合によっては少量からはじめていくことが大切と思われる。

投稿者: 湘南こころのクリニック

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