診療日誌

2016.03.31更新

アスペルガー症候群は発達障害の中で言葉のおくれや知恵のおくれがなく、社会性の障害とこだわりを特徴とする病気とされている。病気であるからには日常生活上支障を生じる程度の重症度が必要であり、ふつうに生活ができている場合にはあてはまらない。
よくアスペルガー症候群の例としてエジソンやビル・ゲイツの名前があがるが、本当にそうかどうかは推測の域を出ない。またシリコンバレーの技術者の1割がそうだとか、東大生や京大生に多いとか、ノーベルプライスをとったあの人もそうだとか、まことしやかに喧伝されるが、これも実際のところよくわからない。本当は診察しないとわからないことなのだと思うのだが。人づきあいが苦手で、研究室にとじこもり、1つのことにこだわり実験を続けると、驚くような結果がついてくるということはありえないことではない。
ところでアスペルガー症候群の人に対しては多分、治療的な観点から介入を続けていくと、エジソンやビル・ゲイツは誕生しなかったと思われる。ここでは診断ありき、治療ありきという考え方はそぐわないのである。
私はこんなことを夢想した。
食欲や性欲などは過大であっても過少であっても病気としてとらえられる。それなら社会的欲望{名誉欲、金銭欲、地位欲など}の場合も過大であったら病気としてとらえてもおかしくないだろう。仮にこれを社会的欲望肥大症候群と名づけると、多くの有名人がこれに該当することになってしまうだろう。あの人もこの人も社会的欲望症候群といわれて病気扱いされ、品位をおとすことになるであろう。大学教授や政治家も標的にされ、マスコミも好き勝手に興味本位に論ずることになるであろう。みつけたら薬を飲ませろというようになったら全くもって喜劇である。いや悲劇かな?

投稿者: 湘南こころのクリニック

2016.03.21更新

金曜、夜10時からはカズオ・イシグロ原作のドラマ「わたしを離さないで」{主演:綾瀬はるか}をほぼ欠かさず見ていた。最初は暗くて、不気味な雰囲気になじめなかったが、世界のベストセラーになった作品だけに、徐々に引き込まれていき、最後は感動に涙することになった。「人生の意味とは何か」という根源的な問題を問い直した作品でもあった。

夢は考えているだけでは実現しない。それは単に夢みているにすぎない。夢を実現する方法を見つけ、そのための行動をおこし、通常、毎日毎日の訓練が必要になる。山に登るためには上に向かって、一歩一歩歩き続けないといけない。雪や嵐があってもそれを乗り越えたものだけが頂上にたどりつくことができる。よく{あきらめなければ夢はかなう}というが、{あきらめない}のは夢実現の必要条件の1つにすぎない。

ドラマでは{例え夢がかなわなくても、身近なところに自分の夢があった}と気づき、さだめられた死を受け入れていく。それは「誰にでもいつかは迎える死」に際しての良い心構えになるのではないかなと気づかされた。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2016.03.11更新

うつ病やうつ状態の治療に抗うつ薬を用いるのは通常である。製薬会社の資料によれば、1種の抗うつ薬で約65%の人に改善がみられている。なかなか治らない難治性のうつ病は15%ほどと言われているので、さまざまな薬を組み合わせることで約85%の人が薬物治療で良くなるとされている。
しかしはたしてそのまま鵜呑みにしていいのかどうかということが今回のテーマである。
製薬会社の資料を詳しくみると約40%の人がプラセボ薬で効果があがっている。プラセボ効果は一般に10~20%と言われているから、残りの20~30%の人は多分、自然治癒していると思われる。従って薬が効いて良くなった人は実は65-40=25{%}になる。しかしさらにそれだけでない。薬の副作用や自己都合で治療中断している人がこの中に入っていない。治験に協力しない一般の患者さんの場合、かなりの数で治療中断がされている。その割合はかなりにのぼり30%以上という。仮に薬の副作用等により治療中断した人が15%として全体を計算しなおしてみると、難治例約13%、プラセボ薬改善例約35%、薬による改善例約38%{ただし1剤の場合約21%}、中断例約15%となる。初めて抗うつ薬を飲んでそのお薬で効果が挙げられたのはほぼ20%になってしまった。
精神科医が{薬を出してもすっきりよくならない}と感じるのは何となくこれでわかったような気がしてくる。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2016.03.02更新

折に触れて気に入った言葉や自分が考えて思いついた言葉は手帳にまとめています。その中から一部を紹介したいと思います。
出典については記録が残っていないため、そのほとんどが不明です。
* 何事も分相応というものがある。
* ないものねだりをしなければ、それだけで幸せになる。
* 負けに負けるな。
* 楽しく居れる場所、楽しくやれるもの、楽しくいられる人、楽しい時間をみつけてください。
* 努力は裏切らない。
* すべては因果応報のリズムの中にある。
* 人生のバッターボックスに立ったら、見送りだけはするなよ。
* みんな、先生。
* 生活態度がすべてを決める。
* 人間には幸福と同じだけの不幸が必要である{トルストイ}。
* 失われた時間はもう戻らない。
* とにかくゆったりすること。
                          {つづく}

投稿者: 湘南こころのクリニック

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