診療日誌

2015.11.22更新

今回は社会不安障害の処方例について述べたい。
  1 ルボックス 25mg 1回1錠 1日2回
  2 ソラナックス 0.4mg 1回1錠 屯用
1のルボックスはSSRIの中でも抗不安作用をあわせもち、他のSSRIに比べて社会不安障害に適している。1日2錠から始め、1日100mg~150mgまで増量する。効果は通常2か月以上経ってから現れることを説明し、それでも毎日飲み続けることのできる人に処方する。日中車を運転することのある人については1日1回でもいい他のSSRIの薬の処方を考慮する。1年以上飲むことが原則である。
なお社会不安障害の中で、スピーチのときだけ緊張して喋れなくなるタイプの人がいる。そのような場合は2の処方をおこなう。ただし眠気が多少出ること、お酒や車の運転は当日は控えることについて話す。
重度の社会不安障害で全く外出ができなくなり、ひきこもりに近い生活を送る人たちがいる。薬だけでは効果は少なく、外に出る訓練を少しずつでも行うことが大切である。また一人ではなかなか乗り越えることが難しいこともあり、そのような場合は一緒に外にいけるパートナー{親、友達}を見つけると効果が上がってくる。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2015.11.12更新

病前性格という言葉がある。これはある一定の性格的な傾向をもつ人がある一定の精神的な病いを引き起こすことが多いという臨床的経験に由来する。統合失調症でもうつ病でも強迫性障害でも病前性格については論じられている。ただし性格はあくまでも原因の一部でしかない。それ以外の要因で病気になる人の方が圧倒的に多い。だから性格をあまり重要視しても始まらない。
ところで最近パニック障害の人を見ていて、彼らあるいは彼女らに共通した特徴にふと気付いたのである。何かというとパニック障害の人は概してよくしゃべり、よく体を動かすのである。躁病のように気分が高揚しているというわけではなく、不安を持ちながらしゃべらないと気が収まらないという感じである。そわそわした感じもみられる。私は<そんなにあせって話してたら、動悸がしてくるだろうし、息も上がってしまうだろう。ちょうどパニックの症状のように>とつい思ってしまったぐらいである。概してそういう人が多いのだ。
パニック障害の人に対してはカフェインを控えるように指導することが多い。ストレスが関与することもあるのでストレスをためないようにということも付け加える、その具体的な方法も。しかしそれ以外に<スローライフに心掛けるように。あまり焦らないで、ゆっくり考え、ゆっくりしゃべり、ゆっくりとおちついて行動するようにしてください>と最近はムンテラするようにしている。あせってすることは交感神経を高ぶらせて自律神経の乱れにつながる可能性が高いと思われるのである。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2015.11.02更新

人間の欲望にはいろいろなものがある。食欲・睡眠欲・名誉欲・金銭欲・承認欲などさまざまである。それらは人間の営みに欠かせないものもあれば、そうでないものもある。生きたいという欲求は生命をつかさどる根源的な欲求であるが、煩悩とよばれるものは一般的には望ましからざる欲望とみなされる。
<欲のない奴だなあ>と言われて<ありがとうございます>と答える人はあまりいないだろう。うまくなりたい、出世したい、お金持ちになりたい、みんなに認められたいなどの欲望が人を駆り立て成長させることが多い。欲がないとは<それじゃあ、伸びないよ>という意味で使われたりするからだ。
しかし欲は人を裏切ることがある。欲に心が負けると、人間は駄目になることがえてしてある。時には転落する場合もある。だから煩悩として一般的に忌み嫌われるのである。欲望はときに際限がなくなり、人は自制心を失い、そして判断力を失なってしまう。
古来より人の欲望を昇華させ、その存在を高めるものとして、真・善・美が知られている。具体的には学問・倫理哲学・芸術ということだろう。欲望は一瞬であるが、真・善・美は永遠である。私はここに観念としての愛をあえて入れてみたい。それは多分、善の中に含まれるものであろう。

投稿者: 湘南こころのクリニック

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