診療日誌

2014.03.28更新

精神科の訪問診療については2つの側面があるが、あまり理解されていないのではないかと感ずることが多い。ここでいう2つの側面とは過度のあるいは過剰な入院主義から地域{コミュニティー}に軸足を移していこうとする流れであり、もう1つは外来機能を充実させて外来の延長線上での活動として訪問診療をおこなっていこうとする流れである。前者は病院が主体となって取り組む課題であり、後者は診療所が主体となっておこなう活動となる。ところが外来部門を担当する診療所は面倒なことには関わりたくないから自ら進んで往診をするところは少ない。なぜなら嫌がる患者を説得するのは困難だし、場合によっては危険な思いをするかもしれないからだ。私が13年前に精神科訪問主体の診療所を作った時も万が一襲われた時のことを想定して防犯用のブザーやスプレーをカバンに忍ばせていたものである。1度も使わずに済んだのは無理はしないと決めていたからである。訪問診療からはいろいろなことを学んだしそのときの経験が役だっていることは多い。10年前に移転して外来主体の今の診療所に衣替えしたが、現在でも訪問診療を必要に応じておこなうようにしている。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2014.03.17更新

障害者であり就労が困難となった場合、ある一定の要件を満たせば障害年金が支払われる。身体疾患や知的障害の場合には発病とその経過はおおよそ推定される。しかし精神の場合にはいつ発病したのか、また経過がどういう経過をたどるのかはわからないことも多い。そこで問題になるのは初診日をいつにするのかということと、初診日から1年半とされている確認日は学問的にみて妥当なのかということである。精神疾患では病名がかわることがある。うつ病と診断していた人が経過をみているうちに躁うつ病に変わったり、統合失調症に転じてしまう場合もある。これは誤診ではなく、そういうプロセスをたどる場合があるということである。それを予想することは今の精神医学ではできない。仮に不眠症でA病院で半年間通院していた人がB病院に転院し、半年後うつ病と診断された場合、A病院の診察期間を含めて1年半後を確認日にすることは可能になっている。不眠症がうつ病の前駆症状とみなされる場合である。しかしながらうつ病と不眠症の間に関連性がなければ問題となる。なんでもかんでもいいという場合ではないと思われるが、一度判例がでるとなんでもいいもんだと思われてしまう。また次のような場合はどうだろう。反復性うつ病の人で1年半後に完全寛解していたが1年10か月後に再発した人と、同じように反復性うつ病の人でたまたま1年半後の時点で再発した人では扱いが違ってくる可能性が高い。なぜなら過去にさかのぼって障害の遡及ができるからである。運がいい人と悪い人がでてしまう。しかしながら、そもそも障害年金は年金を払っていた人しかもらえないわけだから、学問的におかしいとか社会的に公平ではないとかいっても意味はないのかもしれない。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2014.03.07更新

2年に1回診療報酬の変更があります。今年もその2年めにあたり、4月からの窓口支払い額が変わります。ちょうど消費税UPとかさなり、初診料・再診料が引き上げられる予定です。しかしながら支払い側は手をかえ品をかえ診療報酬を抑制しようとしますから、精神科関連では通院精神療法{精神科にかかるときの診察代にあたる。私はこの名称は不適切で精神科通院管理料にすべきと思っています}を処方薬剤数の多い場合に限り引き下げようとしました。しかし、さすがに気のいい精神科医も黙っておらず、学会等の反対で取り下げられることになりました。そのかわりにその穴埋めとして処方箋料の減点がおこなわれることにおちついたようです。もともと日本の精神科医療は多剤大量投与が多く、問題とされてきました。そこにメスをいれようとしてしているかのようです。当院でも、こんなにたくさん薬をのんでいていいのかなあと思うような患者さんが転院してきた場合、あえて薬をへらすことはあまりしていません。すでに耐性ができていて減らすのは困難ですし、あえて減らして病状を悪化させることにもつながりかねません。落ち着いていればそれでよし、悪くなるリスクは避けたいのです。薬をへらすのは医者の力だけでは無理です。かなりの部分は患者さんの努力がないとむずかしいものです。しかし安易な薬の増量に歯止めをかける意味ではプラスに働くことでしょう。

投稿者: 湘南こころのクリニック

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