診療日誌

2013.07.30更新

前回および前々回でふれた<大うつ病>はDSMの大うつ病性障害と概念的にやや異なるものであり、また<軽症うつ病>もICDの軽症うつ病エピソードとは意味合いを異にするものです。混乱をまねくような用語を使用したことに対しておわびします。精神科領域ではこのようなさまざまな似たような用語が用いられることがあることについてはご了解ください。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.29更新

うつ病は一回のみの発症か再発をくりかえしているかでエピソード性のうつ病か反復性のうつ病かに分けられる。またその重症度より大うつ病か軽症うつ病かに分けられる。軽症うつ病の概念は種種の見解があるが、前回のお話からすると機能レベルにおいて一部コントロール可能な状態であると考えてよい。従って気持ちの持ち方で多少よくなるとか、負担を軽くしてあげるとある程度よくなる。しかしうつ病であるからして全くよくなってしまうわけではない。逆にそれで全くよくなってしまうようだと別の病気、例えば適応障害などを考えた方がよい。ある程度のコントロールが効くということは心理療法ないし生活指導が効果を有するということでもある。日常臨床上、軽症うつ病はうつ病全体の8~9割を占めると思われる。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.28更新

脳の機能には二つの病態が存在する。一つはコントロール不能になっている状態ともう一つは一部がコントロール可能な状態である。よく精神障害は精神病と神経症に分けられるが、機能レベルで言えば精神病はコントロール不能な状態、神経症は一部コントロール可能な状態と言えなくもない。従って、前者では心理療法は効果がないし、後者は心理療法の介入する余地があるということである。コントロール不能な病態とは幻覚、幻聴、被害妄想、大うつ病性のうつ状態、躁病の躁状態、緊張病性の昏迷状態などである。したがって、あくまでも私見であるが元気を出そうと思えば元気が出る程度のうつ状態は大うつ病性のうつ状態ではない。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.26更新

精神障害は大きく二つに分けて考えるとわかりやすい。一つは脳の機能障害によっておこってくる病気であり、もう一つはこころの部分に深くかかわっておこってくる病気である。前者は認知症、統合失調症、躁うつ病、大うつ病、パニック障害、強迫性障害、知的障害、ある種のパーソナリティ障害などが含まれる。これらの病気は有効な治療法がないものもあるが、病気の種類によっては薬物治療が非常に有効であり、寛解に至るケースも多い。後者はいわゆる心理的、環境的な要因から身体的・精神的・心理的不具合を生じているもので、薬物療法の適応もあるが心理療法的・環境調整的な援助が必要となるケースが多い。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.25更新

私はもともと精神病理に興味があった。大学を卒業後、精神科医になるが、二つの課題を自分に求めた。一つは精神症状を統一的に説明する原理をみつけること、もう一つは自分なりに納得のいく精神療法をみつけることだった。第一の課題については自分なりに着想をえることができた。脳の構造を弾性体を含む機械的なものと近似させ、機械モデルをもちいて、多くの精神症状を理解することができるというものだ。たった二つの原理から統合失調症やうつ病や躁うつ病や不安障害や強迫症状などを理論的に導き出すことができる。何か所で発表し、論文にもしたが、専門誌ではアクセプトされなかった。私は世界的な発見かと思ったが、周りからは全く奇抜な、正当性のないものと取られたに違いない。たぶん、機械モデルということがしっくりこない原因にもなっていたと思われる。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.21更新

改訂長谷川式は有名な認知症の簡易テスト法です。このうち八番めは五つの品物をみせ、それを隠してから何があったかを尋ねるものです。私はこれを五つの物品テストと解釈し、隠してから3~5分たってから聞くようにしています。これは短期の記銘力を調べる非常によいやりかたです。DSMにもそう書いてあります。しかし、なぜか長谷川式の教示の方法をみると、隠してからすぐに聞くようになっているし、著名の先生から私のやりかたは間違っていると指摘されました。長谷川式で遅延再生は七項目めとされ、それはそれでいいのですが、二つの質問をこなしてからなので、純粋な遅延再生ではないでしょう。ここは認知症を調べるテストなので短期記憶をしっかり調べるべく、時間をあけて物品テストをやった方がいいと思います。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.15更新

うつ病のチェックリストにはいろいろなものがある。当院ではツアンSDSを用いている。あらかじめ面接してどのような状態かを把握して、それから使うようにしている。条件としてうつ病の診断基準である二週間を念頭に、最近二週間の様子について答えてくださいと教示する。また四段階になっているところはややわかりずらいので、0~25%、25~50%、50~75%、75~100%という目安であることを話す。できあがった結果については点数のみでなく、うつ病の基本症状にあたる項目についてチェックし、たとえば抑うつ気分については毎日あるのか、二週間以上あるのか、一日の中で何割ぐらいあるのかについて確かめる。そうして最終的な判断を下していく。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.08更新

一般的に安定剤といわれているものは専門的には抗不安薬といわれている。作用としては不安をやわらげる作用{抗不安作用}、眠くなる作用{催眠作用}、筋肉の緊張をやわらげる作用{筋弛緩作用}などがある。さまざまな薬が出ているがどれも作用は同じである。違いは薬のつよさ、薬の作用時間だ。薬の使い方はこの二点にしぼって選ばれることが多い。最初は弱いお薬からはじめる。弱くても十分に効果があるし、副作用も少なくて済む。注意をしないといけないのは眠気と依存性である。眠気のため、一般的に車の運転は控えるようになっている。また依存性は薬がつよいほど、薬の量が多いほど、また使っている期間が長いほど生じやすい。期間としては数カ月、長くても一年以内を目安とする。すでに数年あるいは十年以上使っている人は無理に急に減らさないほうがむしろいい。離脱症状{禁断症状}が出る恐れがあるからだ。ゆっくり、少しずつ減らしていくことが基本である。薬をどうしても減らせない人はそのまま継続してもさしつかえはない。身体に害をおよぼす恐れはないからだ。維持療法としてずっと飲まれる人もいる。

投稿者: 湘南こころのクリニック

2013.07.02更新

長い慢性のうつ病を患っていた人が突然躁状態に転ずることがある。その人たちはもともと躁うつ病だったのか?この見解にたいしては肯定する意見が多い。しかし必ずしもそうではないのではないか。躁うつ病になったのは結果であって、必ずしも運命ずけられているわけではないと思う。うつ状態から躁状態に変わるのを防ぐことができれば躁うつ病にならないですむ。躁うつ病はうつ病より不安定化しやすいから、防げればそれにこしたことはないのだ。ではその方法はあるのかというと必ずしも確かな方法がないのが現状である。

投稿者: 湘南こころのクリニック

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